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- 多店舗展開のメリット・デメリットは?店舗拡大の判断基準も解説
2025年9月29日店舗デザインに関する話題

多店舗展開とは、店舗数を増やして事業規模を拡大することを指し、チェーン展開とも呼ばれます。飲食店や美容室、雑貨・アパレルショップ、介護サービス、ドラッグストアなど、幅広い業種で取り入れられている方法です。
多店舗展開には主に「直営店」と「フランチャイズ(FC)」の2つの形態があります。直営店は本部が直接経営・管理する店舗で、FCは加盟店が本部のブランドやノウハウを活用して運営する店舗です。
多店舗展開は売上拡大やブランド力強化といったメリットが期待できる一方で、運営コストや管理の負担増加などのデメリットも存在します。検討する際には、両面をしっかり理解したうえで、自社にとって最適な展開方法を見極めることが大切です。
今回は、多店舗展開の魅力だけでなく、注意すべきリスクや判断のポイントについて詳しく解説します。
目次
多店舗展開のメリット

多店舗展開は、既存のビジネスモデルをさらに拡大し、売上やブランド力を高めるための有効な戦略です。
ここでは、店舗展開・拡大を検討している経営者の方に向けて、多店舗展開の主なメリットを解説します。
黒字化できる仕組みを作るだけでビジネスを伸ばせる
多店舗展開の大きな魅力は、1店舗目で黒字化できる仕組みを確立すれば、それを横展開するだけで大きな成長が見込める点です。
例えば、1号店で確立した利益モデルや集客方法、オペレーションの流れを標準化し、それを2号店、3号店と同じ形で再現することで、店舗数の増加に比例して売上を拡大できる可能性があります。
このように事業の成功パターンをコピーしていくだけで、時間とコストを抑えながら事業規模を10倍、100倍に伸ばせる可能性を秘めています。
結果として、安定的な収益基盤を築きつつ、経営者はさらなるマーケット拡大やブランド強化にも注力できるようになります。
事業拡大の方法としてハードルが低い
事業拡大には、M&A(合併・買収)や大規模な業務提携といった方法もありますが、多額の資金、長い準備期間、そして幅広い人脈が必要になるなど、参入のハードルが高いのが現実です。
フランチャイズ(FC)による多店舗展開であれば、そうした負担を大きく減らせます。専門知識や長年の経験がなくても、やるべきことを一つひとつ積み重ねていけばビジネスとして完成するため、多くの人が挑戦しやすい方法といえます。
さらに、本部は経理・商品開発・人事・製造などのバックオフィス機能に集中し、加盟店には営業(販売)を担当してもらうという明確な役割分担が可能です。
この構造により、加盟店が増加しても本部の人件費は比例して増加せず、費用負担の増加を限定的に抑えられます。
多店舗展開のデメリット・よくある悩み

多店舗展開は、事業を大きく成長させるチャンスである一方、拡大すればするほど新たな課題やリスクが現れます。
ここでは、直営店の展開において、店舗数の増加に伴って経営者が直面しやすい悩みと、その背景を段階ごとに解説します。
3店舗目|事業拡大に限界が見えてくる
3店舗までは経営者の目が比較的行き届きやすく、スタッフの経験やスキルに左右されにくい状態で運営できます。この段階では、店舗の管理と人材育成を両立させやすく、順調に売上を伸ばせるケースが多いです。
しかし、利益率が徐々に下がり、3店舗以上の展開が難しくなる経営者も少なくありません。自分の管理能力や時間の限界が見えることも多いため、次の拡大に踏み出すか迷う時期です。
4店舗目|売上の減少/経営判断が問われるフェーズ
4店舗目に突入すると、スタッフの成長が追いついていない場合、経営者の目が細部まで届かず、管理コストが増大します。その結果、売上が急激に下がることもあります。
特に、3店舗目からの売上の落差に直面すると、経営判断が鈍るケースも見られます。
内部体制が整わないまま急拡大すると、最悪の場合は資金ショートや倒産に至ることもあります。この段階では、拡大すべきか現状維持すべきかを冷静に判断することが求められます。
11店舗目|売上の減少/離職増加/管理の負担増加
4店舗目以降の売上減少に続き、11店舗前後で第二の壁に直面することがあります。この時期には、スタッフのモチベーション低下や離職の増加が起こりやすくなり、採用・教育コストが増大します。
さらに、テナントごとの契約や保険管理が煩雑になり、経営者や本部スタッフの負担が急増します。テナント保険や管理システムの導入など、バックオフィス面の強化が不可欠です。
50店舗~|理念浸透の課題
50店舗規模になると、企業理念やビジョンが現場スタッフに浸透しにくくなります。現場の判断や接客の質がバラつくことで、ブランドイメージに影響するリスクも高まります。
この課題に対しては、コーポレートブックの配布やリアルイベントの開催など、直接的に理念を共有する取り組みが有効です。
経営者や幹部が言葉で理念を伝える場を定期的に設けることが、組織の一体感を維持するカギとなります。
多店舗展開を検討する際の判断基準
多店舗展開は、順調なビジネスをさらに成長させる大きなチャンスですが、成功するためには事前にしっかりと判断基準を持つことが欠かせません。
店舗拡大を進める際の判断基準を以下にあげます。
- ◦1店舗目が安定的に利益を生み出しているか
土台が不安定な状態での拡大は、経営全体のリスクを高める原因になります。 - ◦人に依存した営業体制でないか
特定スタッフの能力や人脈に依存していると、その人物がいない店舗では同じ成果が出にくくなります。 - ◦扱う商品やサービスが広く認知されているか
知名度が低い場合は、新店舗ごとに地域での認知活動から始めなければならず、時間やコストがかかります。 - ◦リピーター性の高いビジネスか
リピートされやすい商材、サービスは売上が安定しやすく、一度顧客に定着すれば競合に奪われにくいという強みがあります。 - ◦在庫を抱えにくい商品や無形商材を扱う業態か
保管コストや消費期限、災害や盗難などのリスクを考えると、在庫管理の負担が少ないビジネスのほうが多店舗展開に向いています。
多店舗展開を成功させる重要なポイント

多店舗展開は、事業規模の拡大や売上向上を実現する一方で、管理や運営の難易度が高まる挑戦でもあります。成功をつかむためには、事前に戦略的な準備と明確な基準を持つことが不可欠です。
ここでは、経営者が押さえておくべき重要なポイントを解説します。
直営店か・FCかを決める
店舗運営方式を直営店とフランチャイズ(FC)のどちらにするかは、多店舗展開の成否を大きく左右します。
直営店は利益額が大きく、マネジメントが比較的容易ですが、運営コストが高くなりがちです。
一方、FCはスピーディーな展開が可能で固定費負担も軽い反面、加盟店管理の難易度が高く、運営ミスがブランドイメージ低下につながるリスクがあります。
それぞれの特徴とリスクを比較し、自社の状況に合った方式を選びましょう。
撤退ラインを決めておく
新店舗が赤字になった場合、その影響が全社の経営に波及する前に撤退判断を下す基準をあらかじめ設定しておくことが重要です。
撤退ラインを明確にすることで、感情的な判断を避け、経営全体の安定を保てます。
ブランドコンセプトを明確化し、統一感を持たせる
ブランドコンセプトは、多店舗展開における根幹です。
立地選びの基準から店舗デザイン、ユニフォーム、ロゴ、カラーなど細部まで統一することで、顧客体験の質を高め、競合との差別化が可能になります。
また、統一感のある環境はスタッフのモチベーションや接客品質の向上にもつながります。
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【ミニコラム】多店舗展開における店舗づくりのポイント
- 多店舗展開では、店舗設計や工事を円滑に進めるための「店舗デザインマニュアル」の整備が重要です。素材やカラースキーム、ビジュアルテーマを事前に定めることで、出店スピードや品質の均一化を実現できます。
店舗デザインマニュアルが整備されていることで、新規出店時の設計検討時間を大幅に短縮でき、施工業者との打ち合わせも効率的に行えます。また、ブランドイメージの統一により、顧客にとって安心感のある店舗展開が可能になります。
ただし、1から100まですべての要素を詰め込むと使い勝手が悪くなるほか、周囲の店舗との兼ね合いや土地の形状、立地特性などから標準化しない方が良い工事もあるため、何をどのようにマニュアル化するかの判断が重要です。
そのため、多店舗展開の実績があるパートナー企業に相談し、効果的なマニュアル作成を進めることをおすすめします。
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内装のイメージが固まっていない方もご安心ください。
カエル・デザイン・プロジェクトなら、プロのデザイナーがお客様に最適なプランをご提案します。
まとめ
多店舗展開は、売上拡大やブランド力の強化、事業の安定化など、経営に大きな成長機会をもたらします。一方で、成功のためには事前の戦略づくりや運営体制の整備が不可欠です。直営店かFCかの選択、撤退ラインの設定、ブランドコンセプトの統一など、ポイントを押さえて計画的に進めることで、長期的な成長が見込めます。
こうした計画を進める中で、新規出店や店舗リニューアルに伴う店舗設計・デザイン、またはブランドの世界観づくりに課題を感じることもあるでしょう。その際には、カエル・デザイン・プロジェクトへお気軽にご相談ください。ビジネス展開のコンサルティングから、多角的な分析に基づく出店計画、店舗設計・デザインまで、ワンストップでサポートいたします。
【参考文献】
宮嵜太郎「元手10万円で100億円の売上をつくった事業のコピペ術――フランチャイズ本部のつくり方」|クロスメディア・パブリッシング(インプレス)刊
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