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オフィスの休憩スペースは単なる「休むだけの場所」に留まらず、従業員のアイデアの創出やコミュニケーションの強化の場として近年重要性が認識されています。

従業員が働きやすい環境を整備することは、企業の経営にとっても求められる重要な要素の一つです。

適切に設計された休憩スペースを設けることで、会社の組織力の強化に繋がります。

本記事ではオフィスの休憩スペースについて、その必要性やメリット、効果的な休憩スペースづくりのポイントを弊社施工事例も交えて紹介いたします。

オフィスの休憩スペースの必要性と重要な役割

オフィスの休憩スペースについては厚生労働省が定める省令にも言及があり、経営者や管理者にはその設置が推奨されています。

労働安全衛生規則第613条において、休憩スペースの設置は企業の努力義務と位置付けられています。

『事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならない。』

 

【出典：e-Gov法令検索「労働安全衛生規則第613条」】

罰則こそないものの社会通念上、労働環境に配慮した会社と評価される上で欠かせない要素です。

企業や事業所ごとに求められる休憩スペースの役割は異なってくるため、それぞれの事情や需要に合わせ有効利用できる休憩スペースの構築を目指しましょう。

適切な休憩を取れる環境が整うことで従業員のパフォーマンス維持を筆頭に、オフィスの休憩スペースは従業員や組織運営に様々なプラスの効果をもたらします。

オフィスに休憩スペースを設置するメリット

オフィスに休憩スペースが適切に設置されていることで、以下のようなメリットが得られます。

• ◦ 従業員の生産性向上
• ◦ 従業員の満足度向上
• ◦ 社内コミュニケーションの促進による連携強化
• ◦ アイデアのきっかけを作る場となり組織の創造性向上
• ◦ 企業ブランディングへの寄与

従業員の生産性向上

集中力の維持には、休憩を通じてオンオフを明確に切り替えることが必須です。

従業員が良質な休憩を取ることができれば、効率的に集中力の回復を図ることができ、業務効率や質が高められます。

じっと座ったままのデスクワークが続くと、血流悪化や腰痛といった身体的負荷、ストレス・疲労感の蓄積などの精神的負荷がかかります。

適度に姿勢を変えたり心身のリラックスを促したりできる休憩スペースの存在は従業員の健康リスクの軽減にも役立ち、身体パフォーマンスや集中力低下ゆえのミスや労災・事故防止に寄与します。

結果、健康経営の促進にも繋がり、上記のような心身の健康への好影響によって生産性向上が期待できるでしょう。

従業員の満足度向上

快適で利用しやすい、おしゃれな休憩スペースの整備は、従業員の会社に対する満足度や信頼感の向上に役立ちます。

充実した設備やリラックスできる空間にアクセスできる安心感は仕事へのモチベーションや会社への愛着を高め、長期的な目線で離職率の低下が期待できます。

経営者側の目線では従業員に対する配慮をアピールできるポイントとなり、人材定着のための施策の一環として有効です。

社内コミュニケーションの促進による連携強化

普段業務している自身のデスクの周囲だけではコミュニケーションが図りにくい他部署の従業員とも、休憩スペースを介してコミュニケーションの機会が生まれやすくなります。

部署や役職、業務区分を越えた情報交換が活発化し、自社が抱える改善点が見えやすくなったり、社内の一体感・連帯感や連携力の強化が促されたりします。

アイデアのきっかけを作る場となり組織の創造性向上

休憩中リラックスしている状態で何気なく目にしたものや会話から、業務やプロジェクトで行き詰っている状況にアイデアをもたらす可能性があります。

普段の業務環境から一時的に離れることで、新しい考えやインスピレーションが得られやすいという点に注目するのも、休憩スペースに期待する機能を考慮する上で重要です。

企業ブランディングへの寄与

おしゃれさや洗練された意匠、企業理念を象徴する要素を盛り込んだ機能的な休憩スペースは働きやすい環境や企業文化を体現する場としても機能します。

社内の従業員間での良い評判は採用活動にも好影響を与え、オフィス環境の整備は企業の働きやすさのアピールポイントになりえます。

結果として、来訪者との打合せスペースとしても利用できる場合には好印象を与えやすく、採用活動面では優秀な人材の確保に繋がりやすいです。

事前検討したい効果的な休憩スペースづくりの6つのポイント

形だけ休憩スペースを設置してみても、従業員のニーズに沿っていなかった場合や、配置や定員・機能的な配慮が不十分だと、従業員が使いにくさを感じて思うように利用が浸透せず逆に不満が募る場合もあります。

自然と従業員が集い、日常的に重宝される休憩スペースを実現するために、事前に検討し押さえておきたいポイントを紹介いたします。

• ◦ 従業員への要望ヒアリングを行う
• ◦ 需要・目的に合う機能を備えた空間設計や家具選定を意識する
• ◦ 従業員数に合わせた必要面積を確保する
• ◦ 利用時の選択肢や多目的性を想定する
• ◦ 執務スペースとの位置関係に気を配る
• ◦ 使途に合わせて運用ルールを明確化しておく

従業員への要望ヒアリングを行う

第一に従業員自身がどのような休憩スペースを必要としているかの声に耳を傾けることが何より重要です。

実際には休憩時のコミュニケーションを望む従業員が多いものの静かな空間を意識したつくりで話しにくい雰囲気としてしまう、逆にゆっくり一人で休憩したいと感じている従業員が多いもののコミュニケーションを促すつくりにしてしまうなどの状況が起きると、思うように機能しにくくなります。

すべての要望を反映できなくても、「自分たちの声を意識して作り上げた」という認識は長期的な利用定着や納得感に繋がるため、可能な限り要望の汲み上げを行いましょう。

需要・目的に合う機能を備えた空間設計や家具選定を意識する

目的や期待する機能に応じて、目指すべき休憩スペースの形態は変わります。

• ◦ 「カジュアルなコミュニケーション」を主目的とする場合
  カフェスペースやラウンジスペース型はおしゃれな雰囲気で程よくリラックスできます。
  人流とコミュニケーションを活発にしたい場合はハイチェア・ハイカウンターを中心に選択する、もしくはスタンドテーブルが向いているでしょう。
• ◦ 「従業員の自己研鑽」を意識する場合
  本棚を備えたライブラリー型の休憩スペースを設け、業務に関連する専門書やビジネスに関する書籍などを揃える必要が生じます。
  元々会社で所有している書籍のストックがある場合は、活用するのも手です。
• ◦ 「心身を休めること」を重視する場合
  静かな空間に仮眠室の機能を整備することが必要です。
  カーテンやパーテーションなどで空間の区切りを作り、安心して休息を取れるよう配慮しましょう。
• ◦ 「交流や気分転換」に重きを置く場合
  エクササイズやプレイルーム的な要素を揃えたスペースの設置が有効です。
  未活用の屋上やバルコニーなどが存在するなら屋外スペースの活用も検討してみましょう。

どのケースでも執務スペースとは明確に異なる環境にし、レイアウトに余裕を持たせつつ明るく優しい色合いや質感の家具、床材や壁材、3,000K付近の色温度の照明や間接照明で温かみを演出することでリラックスを促せます。

グリーンを積極的に取り入れることも、リラックス効果を高めるのに役立ちます。

従業員数に合わせた必要面積を確保する

従業員数に対して席数が少ない・十分な広さがないと、窮屈に感じて満足度が低くなってしまいます。
必要面積を検討する上で、十分とされる広さの目安はオフィスの従業員一人当たり2㎡（0.6坪）前後と言われています。

多目的な利用が想定される場合はもう少し広く2.5㎡（0.7～0.8坪）以上見積もると良いでしょう。

どうしても物理的な広さをそれほど確保できない場合は、窓に面した区画を休憩スペースとするといった工夫で開放感を演出することが可能です。

利用時の選択肢や多目的性を想定する

一人でゆっくりと過ごせる席、グループで雑談できる席など様々なタイプの座席を用意しておくと、利用者が場合によって適した席を選びやすくなり利用が促進されます。

また、コーヒーメーカーやウォーターサーバー、オフィスコンビニの設置など、軽食やドリンクの提供機能があるとカジュアルな利用を促しやすいです。

出張している従業員のタッチダウン利用、ソロワーク、軽いミーティングへの活用も想定しておくと、空間利用率を更に高められます。

そのほか、ゆとりのあるレイアウトに加えて組み合わせや可動性に優れた家具を採用しておくと、社内イベントやセミナー用のスペースにも転用可能で活用の幅が広がります。

執務スペースとの位置関係に気を配る

基本的には休憩スペースへ執務スペースの音や様子ができるだけ伝わらない程度に距離を置いた位置関係が望ましいです。

ただし移動距離が長すぎると足が遠のいて利用率が下がってしまうため、程良い位置関係になるよう注意が必要です。

執務スペースから近い位置になってしまう場合はパーテーションなどで仕切りを設け防音性を高めたり、色調や材質を変えたりといった空間的な区別をつけるなどの配慮が必要になります。

コミュニケーション促進が主目的の場合は、各部署の従業員の移動動線の交差点上やオフィスの中心エリア、オフィス入口付近なども適するため、目的に合わせて検討しましょう。

使途に合わせて運用ルールを明確化しておく

幅広い利用方法が想定される休憩スペースほど、利用方法とルールを明確化することが重要です。

漠然と開放しておくだけだと従業員が自分の思う過ごし方をしてよいかわからず心理的なハードルを感じたり、利用方法に乱れが見られたりすることがあります。

例えば、利用方法や時間や清掃に関するルールを定めておくと快適な環境を保ちやすくなります。

他には、想定する目的に応じて話し声や音楽に関しての注意事項や飲食の可否、仮眠の可否、ワークスペースやミーティングスペースとしての利用などについても決めておくとよいでしょう。

策定したルールは、入り口や各座席などに分かりやすく掲示やサインなどで示せると定着しやすいです。

用途ごとに見た目の区別がわかりやすい家具選定、目的ごとにゾーニングを区切ったレイアウトなどの工夫で自然と使い分けが進むような設計を施すのも一つの手段となります。

オフィスの休憩スペースの内装デザイン事例

弊社の今までのオフィス施工事例から、休憩スペースに特色のあるものをご紹介いたします。
※敬称略

DATTJAPAN株式会社

大きなアール形状の窓に合わせた造作カウンター席を設け、外の景色を取り入れたリフレッシュ空間となっています。

丸みを帯びた椅子や床材の貼り分け、シンプルかつ上品なフォルムのペンダントライトが空間に落ち着きを与え、執務スペースとは異なる雰囲気で時間を過ごせるよう配慮をしています。

周囲には大きな窓やガラスパーテーションを採用し、スペース内も仕切りを排したゆとりのあるレイアウトで、トータルで開放的な雰囲気が醸成された従業員ファーストな休憩スペースです。

事例の詳細は下記からご覧ください。

→ 施工事例：DATTJAPAN株式会社

日鋪建設株式会社

植栽が豊富に取り入れられ、床・壁・下がり天井の木目調と相まってリラックスしやすい休憩スペースです。

様々なタイプの席があるためその時に合った席を選択でき、自然と人が集まりくつろげることから、改装後には利用率が高まっています。

吊り植栽によりスペースを費やすことなく緩やかにゾーニングを分ける工夫を行うことで、圧迫感の無いレイアウトを実現しています。

事例の詳細は下記からご覧ください。

→ 施工事例：日鋪建設株式会社

株式会社マーベリックス

カウンターテーブルやソファ、個性豊かなそれぞれの座席が自由な雰囲気とカフェのような安心感を演出しています。

奥側には半個室に仕切られたソファ席もあり、ゆっくり落ち着きたい場合やクローズな打合せなどにも対応可能で利用頻度が最も高いゾーンです。

一息つく際やミーティングでの使用、家具配置を変えての社内イベント利用など幅広い用途に応じた使い方が可能な空間になっています。

入口には印象的なオオカミのオブジェとアートがあり、会社を象徴する部分としての役割も担っているのもポイントです。

事例の詳細は下記からご覧ください。

→ 施工事例：株式会社マーベリックス

福岡トーヨー株式会社

白を基調とし、差し色にはダークグレーを用いて空間を広く立体的に見せる効果を取り入れて設計しています。

あえて木目のボックス状空間の部分を設け、雰囲気を変えるとともに温かい色合いの吊り照明も相まって優しく覆われた安心感をもたらしているのが特徴的です。

全体的にナチュラルなテイストと広く間を持たせた設計で、開放感と快適性の高い開けた印象としています。

事例の詳細は下記からご覧ください。

→ 施工事例：福岡トーヨー株式会社

従業員が活用しやすい休憩スペースを作りましょう

会社ごとに理念や業務特性、従業員が抱える事情が異なるように、オフィスの最適な空間デザインは異なってきます。

自社の事情を鑑みて従業員に寄り添った適切な目的設定が、効果的なオフィスの休憩スペースを整える基盤となり、生産性や満足度の向上などのメリットをもたらします。

押さえるべきポイントの中には、目的に最適な空間機能設計や他の区画との兼ね合い、レイアウトの精査など、オフィスのトータルデザインの専門家による意見を取り入れたい項目も多いです。

ヒアリングを通じた目的設定段階から実際の施工まで、カエル・デザイン・プロジェクトは望ましい休憩スペースを含めたオフィスデザインの実現にきめ細やかなお力添えが可能です。

休憩スペースも意識したオフィスの新設や改装をご検討の際は、お気軽にお問合せください。

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