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- 立地調査とは?「良い立地」の定義から進め方、ポイントまで解説
2025年12月22日出店コンサルタントに関する話題

立地調査は、新規出店や店舗拡大の成否を大きく左右するプロセスです。どれだけ魅力的な商品やサービスを用意しても、立地選びを誤れば売上や利益の確保が難しくなります。では、どのように「良い立地」を見極め、どんな手順で調査を進めるべきなのでしょうか。
今回は、立地調査の基本から実務で使える進め方・ポイントまでわかりやすく解説します。
目次
- 立地調査の重要性
- 立地が売上に多大な影響を与える
- 集客力をデータで判断できる
- 競合店の状況を把握できる
- コンセプトに合った場所を見つけやすくなる
- 店舗開発における「良い立地」とは?
- 最適な賃料を考えるポイント
- 立地調査の進め方
- 【STEP1】店舗コンセプトを明確にする
- 【STEP2】出店候補エリアを選定する
- 【STEP3】現地調査を実施する
- 【STEP4】競合店を調査する
- 【STEP5】候補立地の売上予測を立てる
- 【STEP6】総合評価と最終判断を行う
- 失敗しない立地調査のポイント
- 昼間人口と夜間人口の違いを把握す
- 業者へ依頼する場合は必要なパターンの見積もりを依頼する
- 業者へ依頼する場合は必要なパターンの見積もりを依頼する
- 新規出店・店舗拡大に関するご相談はカエル・デザイン・プロジェクトへお任せ
立地調査の重要性

本項では、立地調査が新規出店や多店舗化において不可欠とされる理由を、実務的な視点から解説します。
立地が売上に多大な影響を与える
一般に「立地7割」といわれるように、立地は店舗売上に大きく関わる要素です。商品や販促施策は後から改善可能ですが、立地そのものはすぐに変更することが難しく、初期段階の判断が事業全体のパフォーマンスに強く影響します。
正確な調査に基づく売上予測は、投資リスクを適切に管理し、出店可否を判断するための根拠となります。
集客力をデータで判断できる
立地調査では、通行量や人流、周辺施設の状況など、集客ポテンシャルを示すデータを客観的に取得できます。
ターゲットとなるお客様の行動特性と照らし合わせ、購買につながる可能性を見極めるための材料として活用できます。データに基づいた評価により、感覚的な判断を避け、より精度の高い出店戦略を構築できます。
競合店の状況を把握できる
商圏内の競合店の分布や強み・弱みを把握することは、差別化戦略の立案に不可欠です。
立地調査で人流データや周辺エリアの商業特性を分析することで、競合が集中するエリアや競争が緩やかなエリアを明確にし、自店が優位性を発揮できる立地を選定できます。結果として、競争リスクを抑えた戦略的な出店が可能となります。
コンセプトに合った場所を見つけやすくなる
立地調査を徹底することで、自店のコンセプトやターゲットとなるお客様に合致したエリアを見つけられます。
物件の賃料や初期費用などのコスト要素も含めて総合的に判断すれば、事業計画に適した立地を選定でき、店舗運営の長期的な安定にも寄与します。
店舗開発における「良い立地」とは?

立地が売上に与える影響は大きいことを説明しましたが、売上が立ちやすい場所が必ずしも良い立地とは限りません。
店舗開発における「良い立地」とは、売上規模だけでなく、利益が確保できる場所を指します。
人気エリアは確かに集客が見込める傾向がありますが、その反面、賃料が高額になりやすく、結果として利益率が低下するリスクがあります。特に商業店舗では、売上が10%下がるだけで損益分岐点に達するケースも多く、賃料負担の大きい店舗ほど外部環境の変化に弱くなります。
コロナ禍のような突発的な需要減少が生じた際、高賃料物件は一気に損益分岐点を下回り、経営圧迫の要因となります。そのため、単に売れそうな場所ではなく、「最適な賃料で」「利益が残る場所」を選ぶことが店舗開発における最重要ポイントです。
最適な賃料を考えるポイント
最適な賃料を判断するためには、店舗コンセプトやメニュー構成、ターゲットとなるお客様などから売上を予測し、どの程度を家賃に充当できるかを見極める必要があります。
複数店舗(FCも含め)を展開する企業の場合、一般的には月商の8~10%程度が望ましいとされています。ただし、利益率により適正な賃料比率は変動し、基本的には粗利益率が高い業態ほど、家賃に回せる比率は高くなります。
例えば、小売店であれば5~10%、飲食店であれば8~12%、サービス業であれば10~15%ほどです。
実際に計算する際は、以下の計算式を目安にします。
- 予測月商 × 適正な賃料比率 = 支払い可能な賃料(上限)
例えば、月商300万円を見込む飲食店(目安比率10%以下)の場合は、
- 3,000,000円 × 10% = 300,000円
となり、家賃は管理費込みで30万円以内に抑える必要があると判断できます。
業態ごとの利益構造を踏まえ、適正賃料を超えない立地の選定が、安定的な収益確保につながります。
立地調査の進め方

ここでは、効率的かつ精度の高い立地調査の進め方を6つのステップで解説します。
【STEP1】店舗コンセプトを明確にする
店舗コンセプトとは、お客様にどのような体験や価値を届けたいのかを端的に表した「店舗の骨組み」そのものです。
「誰に(Who)」「何を(What)」「どのように(How)」提供するかを言語化しましょう。
- 「誰に(Who)」
ターゲットとなるお客様を具体化します。性別や年齢だけでなく、職業や利用シーンまで想定することで、個人客向けか団体向けかといった座席配置や内装の方向性まで見えてきます。 - 「何を(What)」
ターゲットとなるお客様の購買意欲をかき立てる具体的なメニューやサービスの特徴を定義します。 - 「どのように(How)」
具体的な運営手法を定めます。内装の雰囲気や接客スタイル、SNSを活用した販促方法などは「How」に含まれ、これらは顧客体験の質を左右します。
- 【 関連記事 】
- → 店舗ブランディングとは?選ばれる店舗になるための3つのポイント
【STEP2】出店候補エリアを選定する
コンセプトをもとに、適性の高いエリアを複数選びましょう。
具体的には、出店候補地を中心に、距離を基準とした「円商圏」を設定します。これは来店頻度と移動手段を考慮した理論上の商圏で、以下の3層構造で整理します。
- ◦第1次商圏: 徒歩で日常的に来店できる範囲
- ◦第2次商圏: 自転車や車で週に数回程度来店する範囲
- ◦第3次商圏: 車や電車を使って月1回程度来店する範囲
さらに、客観的なデータに基づいて「実質商圏」を割り出します。複数エリアを比較することで、精度の高い絞り込みが可能です
- ▼主要なデータソース
- ◦顧客データ: POSデータ、会員情報、アンケート結果など
- ◦人口統計データ: 自治体の統計資料や総務省「J-STAT MAP」など
- ◦人流データ: GPSやWi-Fi、ビーコンによる実際の人の移動情報
- ◦地理情報: 地図や道路・施設の配置データ
【STEP3】現地調査を実施する
机上のデータと現地の状況に乖離がないかを検証するために、現地調査を実施して、店舗周辺の実態を把握します。
曜日・時間帯・天候を変えて複数回訪問し、人の流れ、生活者の動き方、街区の雰囲気、騒音・匂い、周辺店舗の活気などを総合的に感じ取り、データでは見落としがちな要素を補完しましょう。条件の異なる複数のタイミングで現地を確認することで、人流パターンの偏りや傾向を正確に把握できます。
統計情報や人流データと照らし合わせ、実地の印象と数値の整合性を確認することで、最終的な立地判断の精度を高めることができます。
【STEP4】競合店を調査する
競合状況を把握することで、自店の差別化ポイントを明確にできます。
競合店舗の価格帯、客単価、サービス内容、客層、ピーク時間帯、来店頻度、口コミ評価などを調べ、繁盛店があれば成功要因も合わせて分析しましょう。この調査を通じて、商圏内での自店の立ち位置を整理していきます。
【STEP5】候補立地の売上予測を立てる
店舗コンセプト、商圏分析、現地調査、競合店調査で得られたすべてのデータを統合し、候補立地の売上予測を立てます。
売上予測は、以下の基本的な要素を掛け合わせることで算出されます。
- 予測売上 = 商圏人口 × 来店率 × 平均客単価 × 来店頻度 × シェア率
※ 来店率:ターゲット層の割合、競合店の分散状況から算出
※ シェア率:競合店舗の数や業態、価格帯から、自店が商圏内で獲得できるマーケットシェア率を客観的に算定
【STEP6】総合評価と最終判断を行う
各調査結果を統合し、候補地を多角的に評価します。 項目ごとに点数化するなど、客観的な比較方法を用いることが重要です。
得られた評価から、最も収益性が高い立地を合理的に選定しましょう。
失敗しない立地調査のポイント
ここでは立地調査の精度を高めるために、特に押さえておくべき実務的なポイントを解説します。
昼間人口と夜間人口の違いを把握する
オフィス街か住宅街かといったエリア特性により、昼夜で人口が大きく変動する場合があります。
自店の営業時間と照らし合わせ、どの時間帯に購買行動が発生しやすいかを分析することで、立地適性をより精緻に判断できます。
業者へ依頼する場合は必要なパターンの見積もりを依頼する
オフィス街か住宅街かといったエリア特性により、昼夜で人口が大きく変動する場合があります。
自店の営業時間と照らし合わせ、どの時間帯に購買行動が発生しやすいかを分析することで、立地適性をより精緻に判断できます。
業者へ依頼する場合は必要なパターンの見積もりを依頼する
外部業者へ実地調査を依頼する際は、必要な調査パターンを明確にした上で見積もりを取得する必要があります。必要な調査内容が複数ある場合は、すべてのパターンの見積もりを依頼しましょう。
調査方法や規模、実施期間によってコストは大きく変動するため、調査内容と費用のバランスを踏まえて調査の判断を行うことが重要です。
出店コンサルのご相談受付中
内装のイメージが固まっていない方もご安心ください。
カエル・デザイン・プロジェクトなら、プロのデザイナーがお客様に最適なプランをご提案します。
新規出店・店舗拡大に関するご相談はカエル・デザイン・プロジェクトへお任せ
立地調査やエリア分析は、出店判断の精度を高める上で欠かせないプロセスです。しかし、実際には多角的な検討や専門的な分析が求められ、社内だけで対応するのが難しいケースも少なくありません。
カエル・デザイン・プロジェクトでは、立地分析から市場調査、コンセプト設計、物件選定、内装設計、ブランディングまで一貫した店舗開発支援を行っています。専門家のサポートのもと、出店計画の精度を高めたい方は、ぜひ当社のサポートをご活用ください。
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